私の目に見えるもの

愛煙家のブログ

2023-01-01から1年間の記事一覧

目の移り変わり

嫌なことがあったから10年前から今日までの画像を眺めて現実逃避をしていた 喉の奥に張り付く熱を帯びたヘドロのようなものを、少しでもごまかしたかった 10年前から今日まで疲れていない日が幾度あっただろう? 不眠症の一日は長い 20歳の時には既に一生の…

バスケットコート

美しい夕焼け空だった 生い茂る木の葉の隙間から覗く 夏らしく彩度が高く 橙と紅の混じる濃い色合いをしていた この空の色 鮮やかな夕焼けの隅に深い紺が滲み始めている色味 この色には見覚えがある 小学四年生の頃だったように思う 団地の中にあるバスケッ…

ナメクジ

何か文字を書くのなら『正しく』『理路整然』としなければならないと思っていた 人に何かを伝えるのなら、論理を精緻に組み立てて、誤解の余地が一切ないものでなければならないと しかし、私が本当に書きたいのは論理ではなかった 私はこの血と肉が、骨と神…

デザフェス

デザフェスに初めて行ってみた 個人的に会いたい知人と、好きな服のブランドを見てきた 個人の世界観が駄々漏れになっているブースと「愛されたい」「見られたい」という感情が溢れているブースがない交ぜになり、あれはあれで異様な空間だ でも、明るい 明…

気のせいだと言い聞かせて

鉛を飲む 一秒生きれば、一粒の鉛が胃の底に溶けていく 少しずつ、少しずつ 昨日よりも少し重い背筋を伸ばし 昨日よりも少し浅い呼吸で 昨日よりも少し俯いて それでも昨日と同じだと言い聞かせて 僅かに、確かに重くなっている足を引きずり 暗く歪み、まど…

開く

傷口が開く感覚がした 本当に傷口が開いたのか それとも元々開いていたことに気付かされただけなのか どちらにせよ、粗い紙ヤスリで傷口を擦られた感覚がある 疲れた日には戻ってしまう あの頃に 結局は傷は傷のまま 治ることを知らないまま 治りかけると自…

いつもなら

久しぶりに日との心の中にある深淵に触れて、生きることはなんて苦しいものなのかと思わざるを得なかった。 たった4歳の子供が力の限りに荒れ狂う成人男性の暴力の前で、一体何ができたと言うのだろう。 「いつも笑って話せるくらいなのに」 そう言いながら…

シャボン玉の握り方

シャボン玉の握り方を知っている人はいない 握るのならシャボン玉は消えてしまう 繊細で儚くて、今にも壊れてしまいそうなものと触れ合う時がある そんな時、シャボン玉の握り方を考える 壊さないように、それでもしっかりと触れ合えるように そこにしか生ま…

歩けない

背中の痛み 浅い呼吸 突き刺すような耳鳴り 悲しい記憶 忘れてしまう大切な風景 大切なものほど手の平から零れ落ちる 掴むつもりのないものばかり残る 大人はなんて寂しい生き物なのだろう 飛び散った肉を見えないように虚飾しただけだ 剥き出しの骨を金だの…

バカがバカを重ねる行為

私は人目があまり気にならない 気にならなくなった 人生の中で迷いあぐねていた時、周りの人間からの言葉が助けになったことがほとんどなかった 私の悩みは自力で乗り越えるしかないのだと、何度も何度も骨の髄に叩き込まれるような経験が積み重なると、人目…

ここも東京なのにね

久しぶりに好きなラーメン屋へ行った バイクを走らせていると冷気が袖の隙間を切り裂くように撫でていく 穏やかでな外灯が柔らかいのか、不気味なのかよくわからない橙の灯りを道路に落としていた 本当に東京なのかと思うほど長閑で人気のない道 何年もこの…

喉の内を伝う涙

涙を流している人だけが泣いているわけではない 喉の内を伝う涙が、世の中にはある 15歳の頃だった ちょうど今のように息が白く、星が綺麗に見える時期 受験対策の講座が終わり、塾から自転車を漕いでいるところだった 春から高校に行く 環境が変わる 高校を…

息が白くなる部屋で

久しぶりに長期的な不調を味わっていて、昔のことを思い出すタイミングが増えた 息が白くなる部屋でうずくまり、このまま死ぬのか生きるのかを毎日選んでいた 生きるには金がかかる 仕事をしなければならない でも、社会不適合であらゆる組織に馴染めない自…