毎日、私は見える景色に戸惑う瞬間がある
見慣れているものしかないはずの風景
自室、近所の釣り堀、トイレ、キッチン、最寄り駅
それなのに私はふと初めて見るもののように感じて、世界は現実味を薄れさせていく
解離と呼ぶほど病的な感覚はない
解離が常態化しているだけなのかもしれない
何にせよ私は「こんなところに居場所はない」と訳知り顔で誰かが言っているように感じられるので不愉快
10歳の頃、私は30代は立派な大人で何があっても動じない存在なのだと思い込んでいた
あの頃から引き摺る懊悩や煩悶があるなんて思いもしなかった
私はそろそろ認めなければならない
何歳になろうとも私は私から逃れることなどできはしないのだと
10歳の私に会えたなら残酷だとは思うけれど、それを伝えたい
強くなろうと努力をしても、何度表彰台に立とうと、勉学に励んで知恵を蓄えても私は私のままだと
周りの人間が私を見る目を変えても、私が私を見る目は決して変わらない
強くなれば、賢くなればきっと何かが変わるはずという誤解を捨てさせてやりたい
10歳の頃と今では何一つ変わっていない
変わることができない
私が私である以上は