性欲が強くなるのは不眠が酷い時
不眠が始まったのは10歳からで、その時の心境に近くなる感覚がある
普段は解離のせいで生きている実感なんてほとんどないのにこの状態の時だけは地中の奥深くまで私が染み込むように感じる
地に足が着いているのではなく普段地上数センチのところを浮かんでいる私が溶けて地面に侵食していく感覚
汚い、と思う
溶けた私が地面を突き抜けて地中の奥に届いて目覚める時を待つかのように静かに丸くなる
いつもの寝ている姿のように足を抱え、胎児のように丸く
意地でもタダでは死んでやらないと叫ぶ代わりに、そのようにして執念深く生にしがみつく
私の体が死んでも爪痕を残そうと性欲が横溢する
そんな自分の淪落した有り様をいつもの私が抱腹しながら眺めている
死だの哲学だの仰々しく高説を垂れていても結局お前は肉欲に振り回される獣なのだと私が私に指を差す
人間なんてものに生まれ落ちたことが不幸の始まり
存在もしない精神でいくら虚飾をしても私は私
獣の域を出ない
開き直るには堕落が足りない
耐え忍ぶには余力が足りない
生き続けるには居場所が足りない