不眠が続くと普段は纏っている虚勢が張り付いた肉と一緒に溶け落ちていく
弱っている時には何もできない
世間では戦争やら自殺やら、何かと騒いでいるけれど結局来年には誰も覚えていない
去年の今頃起きていたことを誰も思い出さないのと同じ
そのようにして薄い感動や情動が何十年と積み重なるのが人生
恐ろしいまでの惰性
塵が山積してもそれは塵でしかない
積み重なり山になれるならまだしも、薄いものが重なっても微風にさえ弾かれ雲散霧消する
世間が早いのか、私が鈍いのか
私には時間の流れが早すぎる、と思ったけれどそれも思い込み
時間に流れなどないのだから、もちろん早さもない
結局疲れているから悲観的にしかなれないだけなのだ
そう思うと嘆息と落涙に満ちたこの人生そのものが喜劇でしかない
私が心から嫌っているギリシャ悲劇さながらの人生だ