「僕が彼女を殺したんだ……!」
13の理由でそんな台詞があった
自殺するほど傷ついた好きな相手の絶望に気付かなかった、というのがその言葉の理由
自己愛に溢れた言葉だけれど一蹴できない
人は深く傷くと誰かを責めずにはいられない
責める相手がいない時、矛先は己へと向く
それが自己愛だと理解する間もなく矢継ぎ早に痛みが溢れてくる
後から正論を垂れるのは誰だってできる
訳知り顔で後出しジャンケンの勝利を噛み締める
その場にいる人間はそれどころではない
生きるのは、足掻くのは簡単ではない
あれかこれかの選択を迫られ、失ったものより手にしているものを落とさないように抱き抱えて
気が付くと大切にしていたものが磨耗し、剥がれ、歪んでいる
そうまでして守ろうとしたものがある事実だけが救いになる
それなのに
後付けの正論を振りかざす人の群れは壊れるくらいなら守った意味がないと得意気
生きることは堕落すること
全てが腐り落ちていく様を見届けること
綺麗になんて誰も生きていけない
境界線を、頼りない足取りで何とか生の側にいられるように辿るしかない
必死に生きる人間を馬鹿にするな
涙が喉の内側にも流れることを忘れるな
目に見えているものが何を隠しているのかわからないならその口を二度と開くな