淡い色
囁く声
遠くの灯り
そういうものがずっと好きで、何故なのか心が引かれる
淡いものこそが人生で、画面の中の出来事はあまりにも色味が濃すぎる
ドラマを求めるのは日々が退屈だから
私は内心でドラマを求める人たちを白眼視している
自分の生活を見渡せば色の淡い景色と、ささやかな音に包まれた穏やかさがあるのに
それには目もくれず、ありもしないフィクションを追い続けてはその中の登場人物になりたがる
自分の人生をバカにしているから退屈なのに
自分にしか見えないものしかないのだと気付くことさえできれば、ささやかなものでも心の底から安心感を与えるものになる
楽しそうに見えることより、楽しむことの方が大切ではないのか
幸福そうに見えるより、幸福な方が価値があるのではないのか
私はそれが虚しい
虚飾に満ち満ちたこの世界が
目の前にあるささやかなものを足蹴にする人々が
こんな日はサラ.マクラクランが心に染みる
人は生まれた時、あんなにも天使に近いのに
いつから人の目は澱み、言葉が軽くなるのだろう
人生は重荷を背負い、長い道を歩くが如しというけれど、生きることが苦行ならなぜ人は子を生むのだろう
私は今日も鼓膜が破けそうな耳鳴りの中で、明日が来ないことを祈るばかり