なぜ大切にしてくれなかったのか
失うとわかってからでは、壊れてからでは何もかもが遅いのに
壊れたものを直そうとしても能わない
どれほど泣いても
絶望に暮れても
後悔をしても
そのたびに私の脳裏に過るのは
「どうして大切にしなかったのか」
という言葉
私は命を捧げても良いと本当に思っていた
私の陰惨な過去を昇華するためにも
生涯を懸けても良いと、本気で思っていた
それなのに
望んだもの、求めたものの数々が朽ち果てる様は見ていることさえできないほどに苦しい
泣いても遅い
後悔も未練も絶望も生温い
私はもう同情するほど余力がないのだ
どれほど縋られても既に私の問題ではないのだから
その涙が楽をしたいと嘆く様にしか見えないのだから
油断したのだ、私たちは
地獄の釜が背後で口を開けていると忘れていたのだ
普通や当たり前に手が届かない場所で生きていることを
嘆息は長く、細くただ漏れだしていく