私の好きな哲学者は誰しもが口を揃えて言う。
落ち着けと。
世界は私が思っているより繊細で
人生は時に体温でさえ溶けてしまうほど儚く
人は誰しもが灰のように脆い
大切なものがあるのなら
大切な人がいるのなら
落ち着けと、私の好きな哲学者たちは口を揃えて言う
人の人生がいかに過ちに満ち
世の中がいかに不条理で
人生がいかに陰惨なのか
彼らは嫌と言うほど知っていた
彼らほどでないにしても
私も少しは知っている
だから
落ち着けという言葉の意味はよく分かる
自分の感情を刺激するものは敵なのだ
大抵は自分自身が敵なのだ
向き合うべき相手は外にいない
自分と向き合う気持ちの欠如が
その不寛容で幼稚で臆病な態度が
自分の人生をいかに悲惨なものにするのか
失ってからでは遅い
失う前に気付くためには
自分と向き合い、落ち着きを取り戻さなければ
明るい世界は楽しい
人と一緒にいるのも悪くない
でも
人生は一人で生きるもの
その覚悟なしに生は満喫できない