私が住んでいる町はちょうど良いところで。
少し外れるとすぐ自然が溢れ出す。
駅前は都会ぶっているくせに2回も曲がればコオロギやら鈴虫の声しか聞こえない。
そういうの、嫌いじゃない。
というか、山で育った私にとって都会の方が辛くなる。
仕事に疲れてくると通うスーパー銭湯がある。
10分くらいしか走らないのに2つも市を跨ぐ。
1つはある程度栄えてるところ、もう1つは自然くらいしか売りがない自治体。
市を跨ぐと明らかに道の広さが変わり、空気そのものが変わる。
今の季節は鼻の粘膜に鬱蒼とした植物の匂いが染み込む道。
オレンジの街灯がだだっ広い道を照らし、たまに対向車とすれ違う。
鬼束ちひろを聞いている私には全く音は聞こえないんだけど。
私はその道を時代遅れな250㏄のバイクで走るのがまだ好きだ。
スーパー銭湯へ行くのは口実で、ただその道を走りたいだけだとも言えるくらいに。