場末には化け物が山のようにいる
悪い意味ではなく、良い意味で
こんな才能や能力に恵まれた怪物達が
当たり前な顔をして
当たり前なように
当たり前に働いている
夜の街だから醜聞ばかりが耳に届くけれど
そんな中でなぜ清廉潔白で生き抜き
なぜそこに存在し続けられるのか
彼らの中には何物によっても損なわれることのないしなやかな自我がある
場末だから跳梁跋扈しているのに、そんなものを歯牙にも掛けず堂々としている
私から見ればあの街を闊歩する魑魅魍魎よりよほど彼らの方が化け物に見える
凄い人とは、彼らのことを言うのだろう
凄みとは迫力や気迫ではなく、柔和な雰囲気に隠された包容力のことなのかもしれない
そう考えると、私は凄みを体得するのとは正反対に人生を突進してしまった
これから
これから力を抜き、意地や強情ではないしなやかさを手に入れたい
これから学ばなければならない
私が理想とするのは気迫に満ちた人間ではなく、柔和に包み込める人間なのだから