運の悪い人はいる。
その数は多くはない。
そんな風に思っていた。
だから、私は昔から夜が好きだった。
夜で歩く人間は運の悪い人が多く、全てを話さなくても痛みを共有しているように思えた。
運の悪い人、苦労した人は顔に影が出る。
だから、言われなくても同族なのだと分かるものだ。
しかし、運の悪さを体力や精神力ではね除ける人もいるのが面白い。
夜は面白い。
でも、こんなに悲しい時間もない。
明日には消える霞を後生大事にしている雰囲気にみんな気付いているのに、見ない振りをする。
不自然で不愉快な靄が夜を包んでいる。
今日も終わる、明日は別に来なくて良いのに。