本日は批評なるものをしてみようかと思います。
対象はこちらの記事。
https://headlines.yahoo.co.jp/article?a=20190626-00288272-toyo-bus_all&p=3
日本人はなぜ「論理思考が壊滅的に苦手」なのか、という記事です。
記事の中に気になる文章がありました。
「日本の経営がすばらしいのなら、なぜアメリカ、ヨーロッパ、日本という3つの先進地域の中で、日本の成長率がいちばん低いのか」「なぜ日本人は年間2000時間も働いているのに、1%しか成長しないのか」「なぜヨーロッパは1500時間以下の短い労働時間で2%成長しているのか」
まともな答えが返ってきたことは一度もありません。
という事らしいので、まともな答えを頑張って書いてみようかなと思い立った次第です。
端的に言えば、日本だけがデフレだからです、終わり。
デフレと言うのは総需要が減る事によって、供給力が高くてもモノやサービスが十分に買われない状態。
金>モノ、サービス の関係になってしまう状態の事です。
日本のようにGDPに占める内需の割合が大きな国では、国内でどれだけモノやサービスが買われるのかが景気を大きく左右します。
デフレと言うのはモノやサービスよりもお金の方が大切な状態なのですから、国内での消費が冷え込む事になり、結果として経済の成長率も低迷します。
特に日本は内需主導型経済なので、日本国民の購買意欲の低下は経済の低迷に直結します。
労働時間が云々なんてあまり関係がないんですよね、むしろ日本は頑張っていますよ。
デフレ下でもなるべく失業者を出さないようにと経営者たちが努力を重ねています。
97年からデフレが続いて、たまに浮上したかと思っても再デフレ化。
こんな地獄みたいな状況の中で、日本が欧米と同じように成長出来るはずがありません。
この問いの答えは、日本のマネジメントがなっていないということ以外にはないのですが、それを的確に答えられる人が実に少ない。
デフレだから経済成長率が悪いのであって、マネジメントが問題ではありません。
政府の経済政策が間違っていたことの証明が今の不景気です。
日本人は論理的思考が壊滅的に苦手だと論理的思考が壊滅的に失われた論法を使って説明をしてくださるというのは、きっと「お前なら気付けるはずだ」と著者からエールを送られているからに違いありません。
そう思うと記事に向かって拝みたくなるのは私だけではないはず。
ありがとうございます。
以上、まともな答えになっている事を願い、拙い批評を終わりにします。
記事中に出て来る外国人の方はものすごい経歴の持ち主で、wikipediaを見ただけで仰天してしまいました。
その方のご解説によれば大学はロジカルシンキングを学ぶための場なのだそうです。
サイエンス、経済、法律、文学などは、もちろんそれ自体大切ではあるものの、基本的にはロジカルシンキングを学ぶための「材料」です。
との事なのですが、いつから学問が論理的思考の為だけのものに成り下がったのでしょうか。
論理的思考は大変重要です、これは間違いがありません。
これがなければ「日本が欧米と比較して労働時間が長いのに成長していないのは経営者のマネジメントに問題があるからだ!」なんて言い出す人が出てきてしまう危険性がありますからね。
そうならない為にも論理的思考が必要なのですが、その為だけに大学があるというのは学問の可能性を狭めます。
文学の世界に一体どんな論理性があるというんでしょうかね?
分かります、脚本を分解してみたり、一見すると論理的っぽく解釈できる事は。
しかし、文学を含む芸術の役割というのは感動に尽きるわけです。
私は幼い頃から芸能に携わっていますから、それを本当によく実感しています。
もちろん、その中で論理的に考えなければならない場面もあります、なぜこの芸は人を感動させるのか? を見出すのが芸事に携わる人間の役目でもありますから。
しかし、それは芸事に携わる人間に必要なものであって、基本的に芸術は味わえばそれで良いんです。
賢しらに理性で解釈しようなんてした瞬間に、芸術は間違いなく色褪せていきます。
だって、芸術ってそこに没入して味わうものだから。
理性だけ働かせようとして、他の感覚が鈍ったら本当の味なんて分かったものではありません。
からあげを目に入れて「美味しい」と言ってるようなものですよ、それは。
論理的思考は大切ですが絶対的な価値を持っているものではありません。
人間に備わっている感性を無視してしまえば、そこに残るのはチェスタトンのあの名言。
狂人のことを理性を失った人というのは誤解を招く。狂人とは理性を失った人ではない。狂人とは理性以外のあらゆる物を失った人である
とまあ、こうなるわけですね。
理性も大切、感性も大切、何事もバランスが大切。
今日の結論!
チェスタトンってやっぱりすごい!