私の目に見えるもの

愛煙家のブログ

ホメロス

不眠が続くと普段は纏っている虚勢が張り付いた肉と一緒に溶け落ちていく 弱っている時には何もできない 世間では戦争やら自殺やら、何かと騒いでいるけれど結局来年には誰も覚えていない 去年の今頃起きていたことを誰も思い出さないのと同じ そのようにし…

遠野物語

遠野物語を読んでいると妖怪などの空想上のものが生まれる必然を感じてしまう イタコが不具者のための仕事であったように、妖怪がいることにしてこの世の不条理を受け止めようと努力をしてきた人の軌跡にも思える 論理や証明がどうのという話ではなく「そう…

落日

夕方、いつもの道を走っていると空が暮れなずんでいた 同じ時間にジョギングをしているから空の様子で季節を感じる 夕暮れを目の当たりにするなんて、かなり日が伸びたらしい 夏が近付いて空の彩度が上がっている 遠くを眺めると地上から山が空を侵食してい…

本当の音

人は全身で生きている 当たり前なようで実はあまり気に留められることの少ない事実 例えばエロ親父の顔付きは誰もが大体想像できる 脂ぎった小太りの、頬に赤身が差した色黒のハゲだ このようにして人の性格は顔に出る だから、顔が最も分かりやすいのだが人…

アノミー

読みやすい文章を書く練習が必要だ テーマを小さく分けていくしかない 今は思い付いたままに大して補足も解説もせずに書きなぐっているけれど、これではいけない 私の頭の中で繋がっていても読んでいて分からないのなら、それは不適切 特に人に見せたいと思…

花も花なれ、人も人なれ

眠れない日が続いているからなのか、夜になると鼓膜を突き刺す耳鳴りがしている 最近は本もなかなか読めていないし、私の内面は枯渇している 何かを学ぶにも体力が付いていかない そんなことを言い続けて生きてきた気がする 振り替えればある程度の能力は手…

何もかもが飾り立てられ

「何もかもが飾り立てられ 本当の姿を失ってしまった 私の住むこの世界は このままじゃあまりにも悲しすぎる」 KOKIAの「本当の音」は何度聞いても良い 本来の姿、ありのままのものは実は淡くて儚い それでは物語性もないし、見映えも悪い だから、人目に付…

解離とオピオイド

柴田淳は本当に良い声をしている 何よりも歌詞が良い 悲しい歌はこういう人に歌って欲しいものだ スマホからの更新だと頭の中に氾濫する思考より、ダラダラと日常の出涸らしを言葉にしてしまう きっと文章を作る速度が遅いからなのだろうけれど 急な低気圧に…

母性

鬼束ちひろはやっぱり神様 歌詞が本当に良い 生きることは辛くて、悲しい 煩悶が付きまとう 若い頃の鬼束ちひろは叫びたくなるような痛々しさが常に感じられた 最近はどこか達観しているというか、母性のようなものを感じる 書けない手紙はまさにそんな歌 ア…

彼岸と此岸の境界

私は歌うのも好きだし、歌を聴くのも好きで日常の中に音楽がいつでも溶け込んでいる 特にピアノや弦楽器の音が本当に好きで、何時間聞いていても飽きる事がない しかし、私が一番気になるのは歌詞 物書きだからなのか、歌詞の良し悪しで歌全体の好きか嫌いか…

森鴎外の境地

昔の日記を読んでいると何とも暗くひねくれたことを書いていたけれど、今でも大して変わりがないのでそんなものかと笑ってしまった 神様は乗り越えられない試練を与えないと言うけれど、乗り越えられない試練を与えられた人は死んでいるのだから生きてる奴は…

オルテガ

関取花を聞いていると育ちの良い大正時代の娘という感じで懐かしいような、苛立つような気持ちになる 昔から愛されて育った人にふとした時に気付いてしまう 関取花もそうなんだろうな、とよく感じる 人は悩む生き物らしい 育ちや環境にかかわらず、とにかく…

もしも僕が帰ってこなくとも

「明日僕はどこへ行こうか 明日僕はどこかへ行きたい もしも僕が帰ってこなくとも 明日僕はどこかへ行きたい」 タテタカコは本当に良い 心に沁み入る この歌は本当に苦々しい記憶と癒着していて 聞く度にかさぶたにもなっていない傷が深くなる感覚がある 14…

解離が酷くなっている話

歩いていて気が付いたけれど解離が酷くなっているらしい 私は毎日やるべきことをやるべき時間に狂いなく行いたい その日の自分の体調がどうだとか、今日の気分がどんなものかとか、そういう当たり前に感じるはずの感覚がとても薄い 昔はそこに酷い煩悶があっ…

水平線

back numberの水平線という曲がある 違和感があって何度も何度も聞いていた 何がこんなに引っ掛かるのか 何度も聞くうちに男側が女側の気持ちをわかったような口振りなのが引っ掛かるらしいと気づいた 有り体な被害妄想の鋳型を用意して「さあ、ここで自分を…

喉の内を流れる涙

歳を取ることは下らないと思っていたけれど最近は穏やかに見る世界の相貌がどことなく心地良い 例えば泣き叫ぶことは歳を取ると少なくなる 体力も精神力も枯れて感情が分かりやすく表現されることが少ないから 喉の内を流れる涙があることに気付いたのは葬式…

世界が終わる夜に

「私が神様だったら こんな世界は作らなかった 愛という名のお守りは 結局、空っぽだったんだ」 先日、柄にもなく大勢が集まるパーティーに呼ばれた 全体の3割くらいはタトゥーだらけの体で私が浮かない奇妙な空間 カラオケをしろと言われたけれど仲の良い友…

もののあはれ

先週の月曜日、仕事仲間になる占い師に占ってもらった 私は占いを半分信じているけれど残りは全く信用していない 小林秀雄が言うように言葉にしたらおしまいなものがある スピリチュアル的なものは特にそうで「○○だ」と言いきった言葉が既に嘘になっているの…

拒絶の仕方

気が付けば年末 年末の空気だけは本当に良いと思う 空気が緩んで夜は人気が消える 外を出歩く人がいないからなのか、車が走る音がしないからなのか 海の底に沈んだかのような静寂 こんな風に毎日が過ぎるなら私は世界をあと少しだけ好きになれる あと少しだ…

18歳で結婚したかった話

満月と新月の日は寝込んでしまうことが多い 些細な環境の変化にここまで振り回されるのは面倒 ふと思い出した昔の記憶 そう言えば私は18歳で結婚したいと言っていた 当時の私には18歳という年齢は想像もできないくらいの大人で子供がいてもおかしくないと思…

正しい手順で丁寧に

料理が好きで色々なものを作るけれど得意料理の出来はやはり良い 実は料理の秘訣なんて簡単なことで正しい手順で丁寧にやるだけ 薬膳もそう 体はそのようにして作られたものを内側から毛先まで浸透させて出来上がる 時短も大切だし、出来合いのものを使うし…

20年前

毎日、私は見える景色に戸惑う瞬間がある 見慣れているものしかないはずの風景 自室、近所の釣り堀、トイレ、キッチン、最寄り駅 それなのに私はふと初めて見るもののように感じて、世界は現実味を薄れさせていく 解離と呼ぶほど病的な感覚はない 解離が常態…

釣り堀を眺めながら

突き抜けるような空から冷気が染み込んで肌の下まで霜が降りたような日 嘆息は微かに白く、煙草の煙と一緒に上がっていく いつまで生きているつもりなのだろう? 私はとっくに疲れ果てているのにまだ体は完全に壊れてくれない どれほど過活動になっても体は…

思い出はトラウマ

私は記憶力が異常で記憶したものはその時の匂いまで思い出せる 人の表情も気温も風景も話したこと そういうものが私の中に雪のように積もって、時間の経過と共に精神が圧迫されていく 記憶したくなくても私は覚えてしまう だから、私は疲れていたい 耳鳴りで…

不眠と性欲

性欲が強くなるのは不眠が酷い時 不眠が始まったのは10歳からで、その時の心境に近くなる感覚がある 普段は解離のせいで生きている実感なんてほとんどないのにこの状態の時だけは地中の奥深くまで私が染み込むように感じる 地に足が着いているのではなく普段…

ハンナ

「僕が彼女を殺したんだ……!」 13の理由でそんな台詞があった 自殺するほど傷ついた好きな相手の絶望に気付かなかった、というのがその言葉の理由 自己愛に溢れた言葉だけれど一蹴できない 人は深く傷くと誰かを責めずにはいられない 責める相手がいない時、…

昏倒眠

私はあの日、一度死んだのだと思う 夕陽に晒された雲が絵画のようだと思った10歳のあの時に すぐに絵画が雲のようであり、雲が絵画のように在るわけではないと気付いて「そんなものか」と世の中の歪みをわかった気になって あの日、私の精神を支える背骨が砕…

わからないことが当然

何を考えているのかわからない 私はそう言われる事が多い 私は自分の話をしないからそう思われるのだろうか 何を考えているのかわからないと言われても特に気にしないのがいけないのだろうか 周りの人たちは、いわゆる普通の人たちは自分のことを伝えたり、…

デパスはラムネ

デパスはラムネ そう豪語する友人がいた もうどうなったのかなんてわからないけれど 私も一時期は薬漬けだったし、デパスがラムネに思えたこともあった 遊んでしまうから精神科の薬は手元に置きたくない 何もわからないこと、何も考えられなくなること それ…

首の皮一枚

場末から帰る道で初めて涙を堪えた こんなに悲しいことがあるなんて ただひたすらに悲しい 優しい人にばかり苦痛が振り掛かる 悩みが深くなる 安らげるはずだった場所が崩れていく様を見るのがこんなに悲しいなんて 崩れるなら崩れてほしい 一思いに 悲しい…